英電力大手SSEは8日、国内の家庭向けエネルギー・サービス事業をスピンオフ(事業の分離・独立)し、独再生可能エネルギー会社イノジー(Innogy)の英子会社エヌパワーと統合することで合意したと発表した。両社は共に「ビッグシックス」と呼ばれる英国のエネルギー大手6社の一角を占めており、取引が実現すれば事実上「ビッグファイブ」に再編される。顧客数は首位のブリティッシュ・ガスに匹敵する1,150万世帯に達する見通し。
新会社はロンドンで上場し、出資比率はSSEの株主が65.6%、イノジー側が34.4%となる見込み。SSEの株主から承認が得られなかった場合、イノジーは6,000万ポンドの違約金を受け取る。
英国のエネルギー業界を巡っては、政府が先に、エネルギー料金の上限を定める新法の草案を公表。同業界の監督機関Ofgemが標準変動料金の上限を決め、格安料金体系との格差解消を図るもので、標準変動料金を支払う約1,200万世帯への恩恵が期待されるが、企業側にとっては業績の圧迫が懸念されている。
SSEは、1年以上にわたり今後の事業計画を模索していたとして、今回の取引と政府の新規制は無関係だと説明。両社の事業統合に伴い、「顧客にとってより効率的で、機敏で、革新的になれる」と自信を示した。
■上半期は13.9%減益
SSEは併せて、上半期(4~9月)の税引き前利益(特別損益除く)が4億960万ポンドとなり、前年同期比13.9%減少したと発表した。営業利益(特別損益除く)は8%減の5億8,620万ポンド。うち卸売部門と小売部門が増益となった一方、送電・送ガスのネットワーク部門は大きく落ち込んだ。[M&A]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。