ドイツのメルケル首相は7日、同首相率いるキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)、緑の党の3党による連立政権の樹立を目指す方針を明らかにした。これまでの連立相手だった社会民主党(SPD)は下野する意向のため、同党との協議は断念する。ロイター通信が伝えた。
同首相は、「SPDには当面、国政を担う能力がないことが明らかで、同党との連立を検討するのは時間の無駄」と明言。FDPおよび緑の党と手を組むことが唯一の現実的な選択肢との考えを示した。
FDPは中道右派の企業寄り政党で、前政権下でCDU・CSUと連立を組んだ実績を持つ。一方、緑の党はSDPと連立政権を組んだことがある。3党の間では、移民問題やエネルギー・環境政策、税制、欧州連合(EU)との関係など様々な問題で意見の相違があり、今後の連立交渉の難航も予想される。
なお、このうち移民問題は、当のCDUとCSUの間でも争点となっていたが、両党はFDPおよび緑の党との連立交渉開始に向け、8日の協議で今後の方針について合意に達した。メルケル首相が党首を務めるCDUは、姉妹政党CSUの要求に応じ、移民純増数を年間20万人に制限することを受け入れた。
CSUはかねて、メルケル首相が2015年に多数の難民を受け入れた結果、足元のバイエルン州が移民の玄関口となりしわ寄せを受けたことに不満を抱くとともに、難民の大規模流入ががユーロ圏解体と反難民を訴える「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進を招いたとして、同首相を批判していた。
9月25日の選挙の結果、CDU・CSUは第1党の座を維持したものの、得票率は33%と1949年以降で最低に沈み、議席数は65議席減の246議席にとどまった。FDPは80議席、緑の党は67議席で、総議席数の709議席の半数を超えるためには3党が手を組む必要がある。なお、SPDは第2党の座は守ったものの、40議席減の153議席。AfDは94議席を獲得し、第3党に躍進している。
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