ドイツの連邦議会(下院、基本定数598)選挙の投開票が24日実施され、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党の座を維持し、首相4選が確実な見通しとなった。連立与党の一角を担っていた社会民主党(SPD)が早々に下野する方針を示唆する一方、ユーロ圏解体と反難民を訴える「ドイツのための選択肢(AfD)」は第3党へと大躍進を果たす情勢となっている。出口調査の結果を元に、現地メディアが伝えた。
公共放送ARDが午後10時28分(現地時間)時点で明らかにした出口調査によると、CDU・CSUの得票率は32.9%。第1党に留まるものの、議席数はメルケル政権下では過去最低となる見通し。SPDが20.6%でこれに続いたが、こちらも第2次世界大戦以降で最低に沈むとみられる。選挙前に議席を持たなかったAfDは13%と大きく躍進する見込みだ。
前政権下で連立与党の一角を占めていた自由民主党(FDP)は10.6%へと盛り返し、左翼党は9.1%、緑の党は8.9%となった。これにより戦後初めて、連邦議会に6党が名を連ねる見通しとなっている。
今後は連立交渉の行方が注目されるが、SPDが連立を拒否する可能性がある中、メルケル首相に残された選択肢は少ない。BBC電子版によると、現在、最も有力視されているのは、それぞれの政党カラーとジャマイカの国旗の色になぞられたCDU・CSUとFDP、緑の党による「ジャマイカ連立」。政権樹立には今後数カ月を要する可能性もある。いずれの政党もAfDとの連立を否定しており、AfDの政権入りはない。
メルケル首相は選挙の結果について、「もっと良い結果を期待していた」とコメント。AfDが歴史的な躍進を果たした背景には、難民の受け入れに寛容な姿勢を示してきたメルケル首相の政策への明確な不満があり、メルケル首相はこうした声に真摯に耳を傾けていく方針を示した。
なお投票率は午後2時時点で41.1%と、2013年の前回選挙の41.4%をやや下回った。前回選挙の最終的な投票率は71.5%だった。
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