• 印刷する

「EU離脱後に2年の移行期間を」 メイ首相、伊フィレンツェで演説

英国のメイ首相は22日、イタリアのフィレンツェで同国の欧州連合(EU)離脱に関する演説を行い、2019年3月29日に正式に離脱した後も、2年間の移行期間を設けることを提案した。EUとの新たなパートナーシップについては、「ノルウェー・モデル」や「カナダ・モデル」の採用を否定し、英国独自の関係を築く意向を示している。

メイ首相は、EU離脱に伴い単一市場と関税同盟からも脱退し、EUと新たなパートナーシップを結ぶ意向をあらためて示した。ただ、新たな制度や手続きの準備と導入には、2年の移行期間が必要と説明。この間は、英・EU間の人の移動の自由を認めるとともに、従来通り市場アクセスを維持する方針を示した。英国が既に約束している拠出金については、この間も払い続ける。BBC電子版によると、支払い額は計200億ユーロに上る可能性もある。

新パートナーシップについては、欧州経済領域(EEA)に参加したり、EUとカナダが結んだような自由貿易協定(FTA)を結ぶ選択肢は否定した。EU加盟国以外にノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドが加盟するEEAに参加すれば、英国は今後もEUのルールを順守する必要がある一方、ルールの策定には参加できないと指摘。また、FTAは現在の英・EU関係と比べて制約が多すぎるとの考えを示した。その上で、英国と欧州は歴史や価値観を共有し、既に同じルールを採用していることから、既存モデルに勝るパートナーシップを結ぶことが可能と話した。

新パートナーシップにおける紛争解決に向けては、欧州司法裁判所でも英国の裁判所でもない、中立的な紛争解決機関の必要性を示唆した。

メイ首相の演説について、欧州委員会の首席交渉官を務めるミシェル・バルニエ氏は「建設的な内容だが、有意義な進展を得るためには交渉上の立場に具体化する必要がある」とコメントしている。一方、英最大野党・労働党のコービン党首は「対EU交渉の成果というよりも、与党・保守党内各派の交渉結果で、新味はない」とコメント。英国独立党(UKIP)のファラージュ党首は、2年の移行期間を設ければ、EU域外諸国と新協定を結べるのは2022年以降になると指摘。「黄金のチャンスを台無しにする」と批判している。[EU規制]


関連国・地域: 英国EUノルウェーアイスランドリヒテンシュタインカナダ
関連業種: マクロ・統計・その他経済政治社会・事件

その他記事

すべての文頭を開く

米関税引き下げ、近く発効へ 英国製自動車対象=鉄鋼は協議中(06/13)

男女平等ランキング、アイスランド首位維持(06/13)

英国とEU、英領ジブラルタル巡り合意(06/13)

仏EDF、EV充電ポッド・ポイント買収(06/13)

三菱地所、英不動産ファンド買収(06/13)

欧州委「バーゼル3」最終規則適用を再延期(06/13)

パウンドランド、1ポンドで身売り(06/13)

鉱工業生産、4月は0.6%減少(06/13)

貿易収支、4月は赤字拡大(06/13)

シェル、LNG供給能力を1200万トン拡大へ(06/13)

すべての文頭を開く

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。

の記事は有料サービスご契約者様限定記事です。契約すると続きをお読みいただけます。契約されている方は、画面右側にある各種ログインからログインください。
無料トライアルはこちら
購読申し込みはこちら

NNAからのご案内

各種ログイン