英政府は18日、欧州連合(EU)離脱後の安全保障面での対EU協力のあり方に関する提案書を公表した。安全保障、法執行、刑事司法の各面での協力に向けた法的根拠となる新たな対EU安全保障協定を締結する内容。ブレグジット後も既存の枠組みを踏襲し、緊密な協力を続けることを提案している。
英政府は新協定の一環として、EUの捜査機関である欧州刑事警察機構(ユーロポール)と特別な協力体制を築く方針。特に現在、ユーロポールと共同で捜査中の事件で犯人を取り逃がすことがないよう、配慮する必要があるとしている。
英政府はこのほか、航空会社に提出を義務付けている「乗客名簿記録(PNR)」の共有や、EU加盟国同士が互いの逮捕状を執行する「欧州逮捕状(EAW)制度」、シェンゲン条約加盟国が人物ファイルなどを共有する「第2世代シェンゲン情報システム」、加盟諸国が互いの国で捜査を行うことのできる「欧州捜査命令」、テロ防止に向け容疑者のDNAや指紋、車両登録ナンバーを共有するための「プリュム条約」、加盟国間の共同捜査チームなどについても、協力を続ける意向を示している。
ただ、提案書ではこうした協力を続けるために必要な拠出金などのコストは示されていない。また、下院・内務特別委員会の議長を務める最大野党・労働党のイベット・クーパー議員は、「提案書では法執行や司法の運営上の空白が生じれば極めて危険と指摘しているが、欧州司法裁判所に代わる紛争解決のモデルが示されていない」と批判している。メイ首相はかねて、ブレグジットに伴い英国は欧州司法裁の管轄下から外れる方針を示している。
■欧州委、サイバーセキュリティー庁設置を提案
欧州委員会は、EUサイバーセキュリティー庁を設立する方針だ。ユンケル欧州委員長が先の一般教書演説で打ち出したもので、同庁を通じて加盟国のサイバー攻撃対策を支援するほか、製品・サービスのサイバーセキュリティーを保証するEUレベルでの認証制度を新設するとしている。
サイバーセキュリティー庁はこのほか、加盟国間の知識・情報の共有を目的とした情報共有分析センターを各地に設置。また、深刻なサイバー攻撃の被害者に各国当局への通報を義務付けたネットワーク・情報システム安全保障指令の加盟国レベルでの実施を支援する。[EU規制]
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