英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、EUとの間で通関手続きが再開されれば、国内の輸出入業者が負担する通関コストは年間40億ポンド以上に達する――。独立シンクタンクの政府研究所(IfG)が11日公表したリポートで、こうした見通しを明らかにした。影響を受ける国内企業は少なくとも18万社に上るとみている。
政府はブレグジットに伴い、EUの関税同盟からも脱退する方針を示しており、この結果、新たに年間2億件の通関申告が行われるようになるとみている。IfGによると、企業は通関申告1件当たり20~45ポンドの費用を負担するため、ブレグジット後の企業の負担総額は40億~90億ポンドに達することになる。
また現在、EU域内のみを対象に輸出を手掛ける国内企業は約18万社に上る。これらの企業はこれまで通関申告を必要としなかったが、ブレグジット後は新たに申告手続きを行う必要が出てくる。
IfGは「多くの貿易業者にとって、変更の規模とコストは多大なものとなる可能性がある」と指摘。「政府は変更の詳細を企業に伝え、企業のニーズを理解すると共に、適応のための時間を出来る限り提供する必要がある」としている。
政府は8月、EU離脱後の英・EU間の関税のあり方について2つの案を提示。英・EU間の既存の取り決めを一部流用する案と、新関税パートナーシップを結ぶ案で、いずれも通関手続きなどの負担増を最大限に緩和する狙いとしており、新たな取り決めを実施する前に一定の移行期間を設けることも提案している。ただEU側は、英国内のEU市民の権利保障や、英国のEU拠出金の清算額を巡る交渉がまとまるまで、関税についての話し合いは行わない姿勢を示している。
■下院、廃止法案巡り採決
英下院は11日夜、英国のEU離脱に伴いEU法を廃止して国内法に置き換えるための「廃止法案」の採決を行う。最大野党の労働党はかねて、この法案が政府の権限を拡大するとして反対している。[EU規制]
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