英政府は24日、欧州連合(EU)離脱後の個人のデータ保護の規制を巡る方針説明書を公表した。離脱後も英国とEUの間でデータを自由にやり取りできるように規制を大きく変更せず、将来的にもデータ保護のルールではEUと緊密に協力していく方針を示した。政府の方針説明書は今回で最後となり、これまでに発表した一連の方針を元に28日から始まるEUとの交渉に臨む。
同文書は、個人のデータ保護ではEUと足並みをそろえ、情報の流れを阻害せずに企業に法的な確実性を保証するためEU側との早期の合意を求めている。英国の国境を越えるデータの流れのうち4分の3がEU加盟国を対象としたものであり、早期の合意が英国とEU双方の企業の懸念を和らげることになるという。
また政府は、EUが第三国に適用している十分性認定の手続きを経ずに、EUとは規制を永続的に調和させる取り決めを結びたい意向を示した。EUは、第三国との間に流れる個人情報をEU法と同水準で保護する十分性認定の取り決めをスイスやアルゼンチン、イスラエル、ニュージーランドなど12カ国と結んでいる。さらに政府は、離脱後に英国の情報担当委員が引き続きEUとデータ保護規制に関する対話を続けていく可能性も示した。
EUでは、来年5月に新たな個人データ保護の枠組みが施行されるが、英国の企業や公的機関もこれを順守することが義務付けられている。今回の方針説明書では、離脱後も欧州経済領域(EEA)内の国に個人情報を含むサービスや製品を提供する場合には、引き続きこの義務が適用される可能性があるとしている。
テクノロジー業界団体のテックUKは政府の方針を歓迎しているものの、EUは第三国との取り決めの締結に最短でも1年半を要しているため合意までは時間がかかるとして、十分な移行期間が必要と指摘している。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。