英国で働くフランス国民のうち3割近くは金融機関に勤めていることが、英政府統計局(ONS)が8日公表した英仏間の移住者に関する最新統計で明らかになった。金融業界が欧州の人材に依存している様子が浮き彫りとなっている。
この統計によると、英国在住のフランス国民の数は15万4,800人だった。このうち、16~64歳が79%を占め、その中で仕事を持つ人は9万4,000人と78%に上った。これを業種別にみると、金融業界で働く人が最も多く29%。このほか、行政・教育・医療部門が25%を占めている。
ONSによると、この比率は英国で働くスペイン国民でもほぼ同水準で、25%が金融業、28%が行政・教育・医療部門で勤務しているという。
一方、フランス在住の英国民は14万8,000人。英国在住のフランス国民とほぼ同じ水準ながら、その46%を55歳以上が占め、年齢層の高さが目立つ。また、フランスに住む15~64歳の英国人のうち、仕事を持つ人は52%にとどまり、英在住のフランス人と比べて低い。5%は失業中、43%は仕事をせず求職活動もしていないことから、引退生活者が比較的多いことが伺える。
なお、BBC電子版によると、英国在住のフランス人の数はかねて約30万人と推測されていた。統計数値がこれを大きく下回った背景には、英国在住のフランス人に届け出が義務付けられていないことがあるとみられる。在英フランス大使館の広報官は、届け出るのは約2人に1人との見方を示した上で、「人数にかかわらず、フランス国民と英国民が互いの国に果たす役割の重要性がこの統計により確認された」と指摘。「英国の欧州連合(EU)離脱交渉では、これらの人々の将来的な立場を解決策を見出す必要がある」と話した。[労務]
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