英政府は19日、公的年金の受給開始年齢を男女とも68歳に引き上げる時期を7年前倒し、従来の2044年4月~2046年3月から2037年4月~2039年3月とする案を発表した。これにより、2045年度には納税者の負担が全体で740億ポンド軽減されるという。
変更の影響を受けるのは1970年4月6日から1978年4月5日までに生まれた人で、約600万人に上る。引き上げ案は、英産業連盟(CBI)のジョン・クリッドランド元会長が先にまとめた報告書の提言に従ったもの。
政府は、「平均余命の伸びが続いているため年金受給者数が増えており、現実に即して将来の世代を守るような公正で持続可能な制度とする必要がある」と説明している。政府によれば、現代の年金制度が導入された1948年には65歳の平均余命は13.5年で成人後の人生の23%だったが、2017年には22.8年で33.6%に達するという。このため公的年金の受給者数は、このままでは2017年の1,240万人が2042年には1,690万人になると試算している。
この案に対して野党・労働党は、平均余命の伸びが横ばいになってきている上、所得階層や地域による健康格差が解消されていないと指摘。年金受給開始年齢に達する前の60代前半から健康を害する人が多いとして、引き上げに反対している。[労務]
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