ドイツ政府は12日、外国企業による国内企業の買収を規制する案を閣議承認した。政府は重要技術の国外流出を避けるため、買収を阻止できるようになる。背景には、中国企業によるドイツ企業の技術取得への懸念が高まっていることがある。
この案は外国貿易規則を修正するもの。現行規則では、エネルギーや国防上の安全保障が脅かされない限り、政府は外資による国内企業の買収を阻止できないが、修正後は技術の流出により病院や電力網などの重要インフラが危険にさらされる恐れがあると判断すれば、待ったをかけられるようになる。また、政府による買収計画の審査期間も従来の2カ月から4カ月に延長される。この修正法案は、議会の承認を必要としない。
ツィプリース経済・エネルギー相は、「ドイツは依然として世界で最も開かれた経済の1つ」とした上で、「国内企業はドイツほど開かれていない国の企業との競争を強いられる場合もあり、公正な競争条件を確保する必要がある」と話している。
ドイツでは、中国の家電大手、美的集団(ミデア)が昨年に独産業ロボット大手クーカ(KUKA)を買収したことを契機に、中国企業による買収について技術流出などの観点から是非を問う議論が巻き起こっていた。政府はその後、昨年10月に中国福建投資基金(FGC)による半導体製造装置メーカーの独アイクストロン(Aixtron)の買収の承認を取り消している。
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