欧州連合(EU)は8日開いた外相会合で、域外での治安活動を統括する新組織「軍事計画行動能力(MPCC)」の創設を決めた。これまで反対していた英国が賛成に回ったことを受け、全会一致で承認した。イスラム過激派組織やロシアからの脅威が高まる中、EUレベルでの軍事活動の調整に向け最初の一歩を踏み出す格好となる。
MPCCはブリュッセルに置かれ、域外治安活動の作戦立案や、域外諸国の軍隊の訓練を統括する。自衛目的を除き武力を行使しない任務に限定し、文民活動と軍事活動の橋渡し役も務める。まず、治安情勢の不安定なソマリアと中央アフリカ、マリで展開している各国軍の訓練活動をMPCCの管轄下に置く。
EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表(EU外相)は、「MPCC創設は欧州の防衛強化に向け極めて重要な決断」とコメント。「EUの非戦闘的任務の実行やパートナー国の軍隊訓練の改善に貢献するもので、EUの安全保障に非常に重要」と話している。
英国はこれまで、MPCCがEU軍の創設につながり、加盟各国の主権を弱める恐れがあるとして抵抗していたが、EU離脱の決定を受け反対を取り下げた。フランスやドイツはかねて、国外情勢が悪化する中、加盟各国の軍事予算縮小による米国への軍事的依存を軽減するため、EUの軍事資源の調整・統合が必要と訴えていた。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。