ドイツ企業の約半数は、英国は欧州連合(EU)とのヒトの移動の自由といった条件を満たさない限り、EU単一市場から完全に離脱するべきと考えている――。大手会計事務所デロイトが16日公表した最新調査で、こうした事実が明らかになった。
デロイトは4月にオンライン市場調査会社リサーチナウと共同で、英国と取引関係を持つ売上高1億ユーロ以上のドイツ企業250社を対象に調査を実施。それによると、「EUの原則である人・モノ・資本・サービスの移動の自由を受け入れない限り、英国を単一市場から完全に締め出すべき」と考える企業は、全体の49%に上った。一方、「英国を可能な限り単一市場にとどめるべき」とした企業は26%、「英国と自由貿易協定を結ぶべき」とした企業は24%だった。
ブレグジット交渉については、全体の29%が「交渉期間が延長される」と予想。また39%が「新たな合意に向け複数年にわたる移行期間が設けられる」とみており、計7割近くが既定の2年以内でのブレグジット完了には懐疑的なことがわかる。さらに、「合意も移行措置もないまま無秩序なブレグジットが行われる」と悲観視する企業も20%に上った。一方、「自由貿易協定がまとまる」あるいは「貿易障壁が皆無か少ない緊密な関係が築かれる」との回答もそれぞれ32%、23%を占めた。
このほかブレグジットのリスクとしては、法律・税制面での手続きやコストが増すことを挙げた企業が最も多かった。ただ、ドイツ企業はブレグジットが自国にとってはむしろチャンスになると考えており、中でも欧州市場で競争相手が減ることを挙げる企業が多かった。また、フランクフルトの金融センターとしての重要性が高まることも期待されている。
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