欧州議会は16日、北極圏での石油・ガスの掘削・探査を全面禁止とする動議を414対180で否決した。ただし、北極圏の海氷地域での石油・ガス探査の禁止案は支持した。これらの動議はいずれも法的拘束力はない。
北極圏は、世界全体の未開発の石油・ガス埋蔵量の22%を占めるとされ、ロシアやノルウェー、デンマークなどが開発を目指している。しかし北極圏の温暖化は地球全体平均の約2倍で進行しており、海氷は1981年から急速に縮小。現在では夏季の海氷は35年に比べて40%減っている。
欧州議会の動議は、欧州委員会と欧州連合(EU)加盟国に対し、北極圏での石油・ガス探査の将来的な全面禁止に向け、国際的に働き掛けることを求めるもの。また気候変動の悪影響から北極圏の先住民を守るため、北極圏各国の協力を強化するよう訴えていた。
しかしノルウェー議会の代表は欧州議会に書簡を送り、「気候変動の問題は北極圏だけで解決できるものではない」として探査の継続を支持するよう呼び掛けていた。ただし、ノルウェーも海氷での掘削は既に禁止している。[環境ニュース]
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