パリのルーヴル美術館近くで3日午前9時50分ごろ(現地時間)、刃物を所持した男が警備に当たっていた兵士に襲いかかり、発砲を受け重症を負った。事件発生後、同美術館は一時閉鎖された。カズヌーブ首相は、当局はテロ行為として捜査を進めていると述べている。AFP通信などが報じた。
現場は、ルーヴル美術館と地下でつながるショッピング・アーケード「カルーゼル・デュ・ルーヴル」の入口付近。男は「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいたとされる。兵士らは武力行使を回避しようとしたが、もめ合う中で1人が頭部に軽症を負ったため、5発を男の足や腹部に発砲した。パリ検察当局によると、病院に搬送された容疑者はエジプト国籍の29歳で、1月26日にアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国から観光ビザでフランス入りした。所持していた2つのかばんから爆発物などは見つからなかったという。
フランスは過去2年に度重なるテロに見舞われ、2015年11月以降は非常事態宣言下にある。パリには数千人の兵士が配置され、ルーブル美術館内外でも自動小銃を携帯した兵士の姿が見られる。こうした中、4~5月には大統領選、6月には国民議会(下院)選挙を控えており、安全保障は重要な争点の1つとなっていた。
一連のテロで観光客の足は遠のき、かつて世界最多の来館者数を誇ったルーヴル美術館も、ここ2年は200万人ほど減少。昨年の来館者数は約730万人と、前年比で15%落ち込んだ。
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