ドイツ西部のコブレンツ(Koblenz)に21日、欧州連合(EU)への懐疑や反難民を訴える欧州各国の極右勢力が集結した。極右政党の支持者ら800人近くが集まる一方で、こうした右傾化の動きに抗議するデモ行進が行われ、警察発表によるとおよそ5,000人がこれに参加した。AFP通信などが伝えた。
今回の集会はフランスの極右政党・国民戦線のルペン党首が2015年、欧州議会内部に創設した政治会派「民族と自由の欧州(ENF)」が企画した。ENFには現在、9カ国から40人の議員が名を連ねている。集会には、4月に開始される仏大統領選に出馬するルペン党首のほか、9月に議会選挙が予定されているドイツからは「ドイツのための選択肢(AfD)」のペトリ党首が、オランダからは、極右政党・自由党のウィルダース党首がそれぞれ参加した。
ルペン党首は「2016年はアングロサクソン社会が目を覚ました年だった。2017年は欧州大陸の人々が目を覚ます年だ」と演説。ユーロの廃止や移民政策の見直しについては「実際に起こるか否かはもはや問題ではない。いつ起こるのかが問題だ」と話した。また、ウィルダース党首は前日のトランプ氏の米大統領就任に言及し「昨日、新しい米国が誕生した。今日はコブレンツ、明日は欧州の番だ」と聴衆を鼓舞した。
なお、会場近くで行われた抗議デモ集会では、ドイツの社会民主党の閣僚や緑の党の党首などが演説。参加者は「EUの歌」とされているベートーベンの「歓喜の歌」を歌い、欧州の団結を訴えた。会場周辺には、右派グループと左派グループの衝突などを避けるため、警察員1,000人超が動員された。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。