デメジエール内相は、3日付の独紙フランクフルター・アルゲマイネの寄稿の中で、難民政策や治安政策を通じて連邦政府の権限を強化することを提案した。その一環として、連邦政府で送還センターを空港近くに設け、亡命申請を却下された難民を各州の施設から移すことを提案している。
難民の亡命申請への対応や送還、危険人物などに関する治安情報の管理では各州の権限が強いうえ、州同士の情報交換が不十分とされる。12月にベルリンのクリスマス市にトラックが投入した事件では、犯人は亡命申請を却下された西部ノルトライン・ウェストファーレン州では危険人物と見られていたが、犯人がベルリンに移ってからは監視もされず事件を招いたと指摘されている。
このためデメジエール内相は、安全を脅かす恐れのある亡命申請者を連邦政府が拘留し送還できるようにする法案をすでに提示したという。これより亡命申請の却下と送還に関する連邦政府の権限を強化する。また各州に設けられている情報機関を廃止し、その権限を連邦政府の情報機関である連邦憲法擁護庁(BfV)に集中させることも提案している。さらにサイバー攻撃に対しても、連邦政府でサイバー防衛センターを設けることを検討するという。
ただこれに対して、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と連立を組む社会民主党(SPD)からは、批判的な見方が出ている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。