英国人で欧州連合(EU)市民にとどまることを望む人には、「準EU市民」の地位を与える案が浮上している。英国のEU離脱交渉で、欧州議会の首席交渉官であるフェルホフスタット氏の話として英紙インディペンデントが伝えた。
この案は、元EU加盟国の市民となる英国人には、個人として準EU市民になればEUでの自由な移動と居住が認められ、欧州議会選挙にも投票できるという。これにより英国人ですでにEU内で働く人や居住する人、EU内での勉学や就職を望む人も居住国や相手国での面倒な手続きが不要となる。フェルホフスタット氏は、この案を離脱交渉で欧州議会の優先議題の1つにするという。
ただ英政府は、離脱後はEUからの移民を制限する方針を崩していないため、EU加盟各国が英国人に対して同様な措置を取る可能性も高い。
■英国在住のEU市民、離脱後の滞在保証を要求
英国に在住するEU市民の団体である「スリー・ミリオン」は12日、首相あてに書簡を送り、英国に居住するEU市民に対して英国のEU離脱後も引き続き居住できることを保証するよう求めた。英国には約280万人のEU市民が暮らしている。
書簡では、英国に居住するEU市民を離脱交渉の取引材料に利用しないように訴え、EU条約第50条に基づく脱退通告を行う前に、こうしたEU市民に永住権を与えるよう要求している。これに対して政府のスポークスマンは、「首相および他の閣僚は、すでに英国に暮らすEU市民の地位の保護を望んでいることを明確にしている」と説明する。ただし、EU内に居住する英国人の権利が保護されない場合には、これを保証できないとしている。[EU規制]
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