ドイツ政府は25日、2025年までに、旧東独地域の年金水準を旧西独並みに引き上げると発表した。来年の次期大統領選や総選挙を前に、旧東独地域で躍進中の新興右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を抑制する狙いがあるとみられる。フィナンシャルタイムズなどが伝えた。
ドイツでは1990年10月の再統一から26年を経てなお、旧東独と旧西独の公的年金受給額の格差が解消されていない。ドイツの公的年金制度は、受給額が就業時の労働所得に連動しているため、東西の経済格差の影響が年金まで及んでいる格好だ。現時点での旧東独地域の平均受給額は、旧西独の94.1%。政府は2018年から段階的にこれを引き上げる計画で、2025年までの格差解消を目指している。
連邦労働省は、年金改革報告書の中で、「東西の年金の調和は、ドイツの再統一の完成や、生涯労働の認識、全市民の平等に向けた重要な一歩」と説明している。同省は旧東独の年金引き上げに伴うコストは2018年に6億ユーロと試算。2025年には39億ユーロに膨らむとみている。
ドイツの公的年金の支給開始年齢は65歳だが、2029年には67歳に引き上げられる予定となっている。一方で、同国では2014年、年金拠出年数が45年以上の人を対象に公的年金の支給開始年齢を63歳に引き下げる措置を導入している。[労務]
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