欧州議会は24日、トルコとの欧州連合(EU)加盟交渉を中断する決議を賛成479票、反対37票、棄権107票の圧倒的多数で可決した。トルコで7月に発生したクーデター未遂以降、エルドアン大統領の弾圧的な措置で人権や民主主義の基準が低下していることを理由にしている。欧州議会の決議に拘束力はないが、EUとトルコの間の亀裂を示すものとなる。
決議では「トルコはEUにとって重要なパートナー」としながらも、トルコ政府の行動にはEUとトルコの協力を強化しようとする意志が示されていないと説明している。トルコでは、クーデター未遂事件に関与したとみられる人物を多数逮捕し、企業や公共機関の閉鎖や資産没収を断行。また、死刑制度の復活も示唆しており、EUの高官からも交渉凍結の可能性を指摘する声が出ていた。
エルドアン大統領は23日、欧州議会の採決を前に決議には「意味がない」と退けるとともに、EU域内にも権利の侵害や民主制の欠点があるのにトルコを批判するのはダブルスタンダードだとしてEUを批判している。
EUとトルコは2005年に加盟交渉を開始したが、35項目の交渉分野のうちまとまったのは1項目のみ。域内では交渉打ち切りを求める声も出ている一方、EUとトルコの関係が悪化するうえトルコ内部の改革圧力が鈍るとの反対意見も強い。また3月にトルコは、トルコ経由でギリシャに密航した移民・難民の送還を受け入れることでEUと合意しており、関係悪化はこの合意にも影響を及ぼすとの懸念も出ている。[EU規制]
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