英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる交渉の最も望ましい決着は、同国を域内につなぎとめること——。ドイツの政府経済諮問委員会(5賢人委員会)は2日、メルケル首相に提出した年次報告書でこうした見解を示した。
同委は「英国によるEU離脱は経済的損失を意味するだけでなく、何よりも政治面で甚大な影響をもたらす」と警告。政府やEUに対し、ブレグジットを阻止するか、両サイドへの影響を最小限に食い止めるための建設的な協議を行うよう呼び掛けた。一方で、ヒト、モノ、サービス、資本の自由な移動を保証するEUの原則に関しては、域内の政治的安定を守るためにも、英国に「良いとこどり」を許してはならないとくぎを刺した。
同委は今年のドイツの国内総生産(GDP)成長率は1.9%となり、来年には1.3%に減速すると予想。ただこれは季節的要因によるものと説明している。ユーロ圏の今年の成長率は1.6%、来年は1.4%とした。
同委のクリストフ・シュミット委員長はこの日の記者会見で、EU離脱の決定はこれまでのところ、独経済にほとんど影響を及ぼしていないとしながらも、長期的な影響は予測しがたいと指摘した。
ケルン経済研究所(IW)は先に、ブレグジットにより2017年のGDP成長率が0.25パーセントポイント押し下げられるとの見方を示している。
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