ドイツでは今年に入り、1万7,000人以上の難民が申請却下を不服として、連邦移民・難民庁(BAMF)を提訴している——。こうした事実が、南ドイツ新聞の報道で明らかになった。
ドイツ連邦議会(下院)は2月、難民の受け入れを制限する法案を可決した。申請処理を迅速化すると同時に、申請を却下された流入者については早期の国外退去を促す内容。難民申請は却下されたものの出身国で生命の危険があるとみなされた場合は、「補完的保護」の対象者としてドイツにとどまることが可能だが、向こう2年間は家族の呼び寄せが禁止された。
BAMFを提訴しているのは、難民申請が却下され、この「補完的保護」が適用されている移民。提訴した人数は1~8月に1万7,000人超に達しており、うち1万5,000人がシリア出身者だった。これまでの判決では、90%以上が勝訴しているという。
ドイツでは2014年秋から2016年3月半ばまで、シリア出身者に対しては一括で難民認定を行っていた。ただ、3月半ば以降は個別申請に切り替えており、申請者の約6割が「補完的保護」に分類されているという。なお、2014年秋以前を見ると、シリア出身者の約3分の2が難民認定されていた。
なお、今年1~9月のドイツへの難民流入数は21万3,000人だった。通年では最大30万人を見込んでいるが、昨年の約89万人からは大幅に減少する見通し。この背景には、欧州連合(EU)とトルコが3月に合意した送還計画や、バルカン諸国の厳格な入国管理がある。
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