英高等法院で17日、政府が議会での採決を経ずに欧州連合(EU)離脱交渉を進めることの法的な妥当性をめぐる審理が行われ、政府側のライト法務長官が見解を示した。同長官は、議会の承認は不要であり、十分に確立された原則として政府は大権を行使できるとしている。BBC電子版などが伝えた。
政府は、来年3月末までにEU条約50条に基づく正式な脱退通告を行うことを決めている。しかし投資ファンドマネジャーなどを中心とする原告側は、第50条を発動する判断は議会だけに認められると主張している。これに対しライト長官は、国民投票の実施を決めたのは議会であり、首相による大権行使は「議会の想定内」と説明。また、第50条は国民投票で示された国民の意思を実施に移すのに利用されるとして、原告側の主張は国民投票の結果を覆そうとするものと断じている。
さらに、「第50条はいったん発動すれば取り消しはできない」として、高等法院がそれを前提に審理を進めるよう求めた。離脱交渉については、開始後に離脱そのものを撤回できるか疑問が出ていたが、同長官の見解はこれについて答えるものとなった。
審理は18日に終了し、高等法院は10月中に判決を下すと見込まれている。ただし敗訴した側が上訴する可能性が高く、最終的には最高裁が年内に判断を下すことになる。
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