英政府統計局(ONS)は21日、英国の欧州連合(EU)離脱決定は今のところ国内経済にほとんど影響を及ぼしていないとの見方を明らかにした。軟着陸に向け最初のハードルを無事越えた形だが、長期的な影響はまだ不明としている。
ONSは、6月23日の国民投票でEU離脱が決まった後に公表された各種統計を元に、国内経済の状況を分析。それによると、製造業は5月以降、縮小が続いており、建設業の7月の伸びは横ばいにとどまったが、これらの傾向は国民投票前とさほど変わっていない。インフレ率はやや加速傾向にあるものの、EU離脱決定後のポンド安の影響というより、比較対象となる1年前が既に物価が急激に下落した後だったことが大きいとみている。
貿易赤字は7月に縮小したが、ポンド安が輸出を押し上げるにはより長い期間がかかるため、これが理由とは考えにくいとしている。また、小売売上高は8月に前月比で0.2%減ったが、これは7月に1.9%増と大きく伸びた反動とみる。
ただ、英経済の4分の3を占めるサービス業についてはまだ最新統計が出ておらず、判断がつかないとしている。また、ONSの首席エコノミスト、ジョー・グライス氏は、これらの数値は短期的な指標に過ぎず「長期的な影響はまだ不明」と指摘する。ONSは今後、定期的にブレグジットの経済への影響を報告するとしている。
なお、ブレグジット決定後で初となる2016年第3四半期(7~9月)国内総生産(GDP)成長率の発表は10月27日の予定。
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