英政府は21日、電力料金の節約とクリーンな暖房システムの実現に向けた新計画「ウォーム・ホームズ・プラン(Warm Homes Plan)」を発表した。家庭用ヒートポンプの設置を促進するため、補助金の拡大や規制緩和を実施する。前保守党政権下では普及の遅れが指摘されていたが、2035年までに温室効果ガスを8割超削減する目標の達成に向け支援を広げる形だ。
政府は前保守党政権が22年に開始した「ボイラー・アップグレード・スキーム(BUS)」について、24年度は3,000万ポンドを追加拠出し、25年度予算では従来からほぼ倍の2億9,500万ポンドを割り当てる。イングランドとウェールズの住宅所有者は、同スキームを通じて7,500ポンドの助成金を申請することができる。25年には最大30万世帯が恩恵を受けられる見通しだ。
これに加え、25年からは屋外にヒートポンプを設置する際、隣家との境目から1メートル以上離す必要がある「1メートル規則」を撤廃する。これにより、住宅の密集度が高いイングランドの都市部などでも設置が加速すると見込む。
政府はヒートポンプを導入した場合、従来のガスボイラーと比較して年間200ポンドの節約が可能だと強調。新たなガスボイラーに買い替える場合でも通常約3,000ポンドのコストがかかるとしており、住宅所有者に対しヒートポンプへの交換を呼びかけている。
スターマー首相は国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で、35年までに温室効果ガスを1990年比で81%削減する新たな気候変動目標を発表した。英国の炭素排出量に占める家庭用暖房の割合は、21年時点で18%に達する。ヒートポンプの設置数は欧州平均を下回る水準にとどまっており、脱炭素化に向けて普及拡大が急務となっている。[環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。