欧州委員会は15日に発表した秋季経済見通しで、今年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)が前年比0.8%拡大するとの予測を示した。雇用の伸びと実質賃金の回復が可処分所得を支えた一方、消費は抑制されていると指摘し、前回見通しを維持。来年については0.1ポイント下方修正し、1.3%になるとみている。
今年の成長率見通しを国別に見ると、ドイツはマイナス0.1%と、主要国で唯一の縮小を見込む。フランスは1.1%、イタリアは0.7%、スペインは3%の成長を予想する。
ユーロ圏の2026年の成長率は1.6%を見込む。欧州委は、購買力が徐々に回復し、金利の低下に伴って消費はさらに拡大すると予想。企業は利益を回復し、投資も徐々に上向くとしている。
欧州連合(EU)加盟27カ国のGDP成長率については、今年は0.9%、25年は1.5%、26年は1.8%との見通しを示した。
一方、ユーロ圏のインフレ率については、今年は2.4%と前年の5.4%から大幅に縮小し、来年は2.1%、26年には1.9%に減速するとみている。サービス価格は高止まりするが、賃金上昇の鈍化や生産性の向上などにより、25年初めからの緩和を見込んでいる。
欧州委は、ロシアのウクライナ侵攻の長期化や中東での紛争を受け、経済見通しを巡る先行き不透明感と下降リスクが高まっていると指摘。また、米大統領選で共和党のトランプ前大統領が勝利したことで、今後同国の保護主義政策が欧州にとって重しになるとみている。
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