欧州委員会は29日、中国製電気自動車(EV)への最大35.3%の追加関税措置を発動すると発表した。31日からで、期限は5年間。中国製EVに対する同国政府の不当な補助金が、欧州連合(EU)市場の競争原理を歪めていると判断した。中国政府は「同意も受け入れもしない」と反発している。
税率は、欧州委の調査に対する協力度合いや、受け取っているとみなされた補助金の規模などによって異なる。発表によると、現行の10%に上乗せする追加税率はBYD(比亜迪)が17%、浙江吉利控股集団(吉利集団)が18.8%、上海汽車集団(SAIC)が35.3%。米テスラの中国工場から輸出されるEVには7.8%を課す。このほか、協力的な企業は20.7%、非協力的な企業は35.3%となる。
ドムブロフスキス上級副委員長(通商政策担当)は声明で「適切かつ的を絞った措置により、EUの公正な市場と産業基盤を保護する」とした上で、「EVを含む競争は歓迎するが、公平かつ公正な競争条件の下でなければならない」と説明した。加盟国の中ではフランスなどが賛成する一方、ドイツやハンガリーは反対。自動車業界からは「自由競争を阻害する」などと懸念する声が根強くある。
中国商務省は30日、EU側の決定を批判。世界貿易機関(WTO)の紛争解決メカニズムに基づいて訴訟を提起しているとして、「引き続き中国企業の正当な権利と利益を断固として保護するために、あらゆる必要な措置を講じる」と述べた。
EU・中国間では協議が続いており、何らかの合意に達すれば関税は撤廃される可能性もある。しかし、中国製EVの最低価格設定などを巡って依然として大きな隔たりがあるとされ、交渉の先行きは不透明な情勢だ。[EU規制]
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