海洋保護団体のオセアナUKは22日、保守党前政権が5月に北海の石油・ガス探査ライセンス31件を新たに付与したことを違法とし、高等法院に提訴したと発表した。石油流出事故などが海洋保護区域に及ぼすリスクや、石油・ガスの生産拡大による気候変動への影響を考慮していないと訴えている。英国では探査ライセンスに対する訴訟はライセンス付与から3カ月以内に提訴しなければならないとのルールがあり、期限を前に訴訟に踏み切った。
オセアナUKは、ライセンス付与は政府の掲げる2050年までのネットゼロ目標に矛盾すると指摘。「政府はライセンスを付与された探査事業のうち、実際に生産に結びつくのは50%に過ぎないとしているが、この仮定には欠陥がある」と主張する。
また、同団体が所属する「海底掘削に反対する海洋同盟」はミリバンド・エネルギー安全保障・ネットゼロ相に連名で書簡を送り、今回の訴訟で敗訴を認めるよう求めている。この同盟には、環境保護団体のグリーンピースなどが参加する。
スナク前政権は、北海での新規の油ガス開発はネットゼロ目標の達成の妨げにはならないとして、昨年10月に27件、今年1月にも24件の探査ライセンスをそれぞれ付与していた。一方、労働党新政権はかねて、油ガス田の新規探索は認めない方針を示している。[環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。