欧州連合(EU)は20日、ロシアへの新たな制裁で合意した。EU域内の港湾でロシア産液化天然ガス(LNG)の第三国への再輸送に向けた積み替えを行うことや、ロシアが北極圏やバルト海で計画するLNGターミナルに資金を提供することを禁止する。EUがロシア産LNGを制裁の対象とするのは初めて。
今回の措置は、ロシアのウクライナ侵攻を受けた制裁の第14弾となる。EUは既にロシア産の石油とガスの輸入を禁止しているが、LNGについては禁輸には踏み込まなかった。このため、加盟国は引き続きロシア産LNGを購入できるが、国内の港湾施設で別の船に積み替えて他国に出荷することは制裁違反となる。
フィンランドを拠点とする独立系研究機関エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)の試算によると、EUは昨年にロシア産LNGを200億立方メートル輸入した。これは域内のガス消費の5%に相当し、輸入高は83億ユーロに上るとみられる。ロシア産LNGの大半はベルギー、フランス、スペインの港から域内に入っている。
今回の制裁ではこのほか、EU企業の域外子会社が軍事機器や軍事転用の可能な製品をロシアに輸出した場合、親会社の責任を問うことも決めた。
新たな制裁は6月前半に合意することが見込まれていたが、ハンガリーとドイツが反対したために協議が長引いていた。当初の案には、EU企業の域外子会社が化学品や金属加工機械などをロシアに輸出することを禁じる条項が含まれていたが、ドイツが難色を示したことで削除されている。[EU規制]
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