中国に進出する欧州連合(EU)企業の約7割が、同国での事業に以前より困難を感じている――。在中国欧州連合商工会議所(EUCCC、中国欧盟商会)が10日公表した最新調査で、こうした実態が明らかになった。市場アクセスや規制面での障壁に加え、内需の不振や生産能力の過剰といった中国の構造的問題に改善が見られないことが背景にあるとしている。この結果、EU企業の対中投資意欲も、過去最低水準に落ち込んでいる。
EUCCCは、1~2月に529社を対象に調査を実施。それによると、「中国での事業が以前より困難になった」と回答した企業は全体の68%と、過去最高水準に達した。中国を「今後の最大の投資先」と見なす企業が、過去最低の13%に落ち込む一方、中国では「今後の投資を予定していない」とする企業も13%と過去最高水準に増えた。今年に中国事業を拡大する予定の企業は全体の42%と、こちらも過去最低を記録している。
中国事業を困難にしている要因としては、「中国経済の減速」を挙げる企業が55%で最も多く、昨年から19ポイント増えた。これに「世界経済の減速」(30%)、「米中関係の緊張」(19%)、「地政学的リスク・地域紛争」(15%)が続く。また昨年と比べると、「生産能力の過剰」(12%)や「規制のあいまいさ」(11%)を挙げる企業が増えており、特に生産能力の過剰については、「業界内に生産能力の過剰が見られる」と答えた企業が36%に上った。
EUや米国はかねて、中国が国内に過剰な生産能力を抱え世界各国に安価な製品を大量に輸出することで経済成長回復を狙っていると指摘。特に、中国製の電気自動車(EV)や鉄鋼の大量流入を問題視している。
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