英国の資源大手アングロ・アメリカンは25日、オーストラリアの同業BHPグループからの買収提案を拒否すると発表した。評価額が低過ぎるほか提案内容も複雑で、株主にとって魅力的ではないと説明している。
BHPの提示額はアングロ・アメリカンの企業価値を311億ポンドと評価した水準で、取引は全て株式交換で行う計画だった。また買収の条件として、南アフリカのプラチナ鉱山子会社アングロ・アメリカン・プラチナムと鉄鉱山子会社クンバ(Kumba)・アイアン・オアの分社化を求めている。
アングロ・アメリカンのスチュアート・チェンバース会長は、自社のポートフォリオはエネルギー転換やその他の需要動向に即したもので、将来的に大きな価値の創出が見込めると強調。南アフリカ事業の切り離しなど「提案された構造はまったく魅力的ではなく、大きな不確実性が生じるだけでなく、それによるリスクは全てアングロ・アメリカンが負うことになる」と述べている。
アングロ・アメリカンの生産量と利益の最大3割は銅事業が占める。買収が実現すれば、世界の銅生産の約10%を占める巨大企業が誕生する見通しだった。
銅は電気自動車(EV)や電力ケーブル、風力タービンなどの原材料で、エネルギー転換の鍵を握る重要資源の一つ。今後は供給不足が見込まれており、資源会社の多くは銅事業の強化に動いている。
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