中国を訪問しているドイツのショルツ首相は15日、上海の同済大学で講演し、中国の自動車メーカーは欧州で公正な競争を行うべきだとの考えを示した。欧州市場への参入は歓迎するが、ダンピングや過剰生産があってはならないと述べている。欧州連合(EU)が中国製の電気自動車(EV)に追加関税を課すことを検討している中、同氏の中国での発言に注目が集まっている。
ショルツ氏は、かつて日本車や韓国車が欧州に急速に流入した時代にはアジア勢が市場を支配するとの懸念が広がったが、実際にはそうはならなかったと説明。「ドイツには日本車が、日本にはドイツ車が走っている」ように「いずれはドイツや欧州の道路を中国車が走るようになる」が、競争は公正でなければならないとし、「ダンピングや過剰生産、著作権侵害があってはならない」と強調した。
また、外国企業が中国で官僚主義的な手続きに阻まれることなく生産拠点を設立できるようにすべきとも指摘。公正な競争とは、ドイツ企業が中国で制約を受けないことも意味すると訴えた。
ショルツ氏はこのほか、国が近隣国に恐れを抱くような事態は間違っているとした上で、「武力で国境を変えることがあってはならない」と釘を刺した。中国がロシアのウクライナ侵攻を批判していないことや、台湾への武力行使の可能性を否定していないことを、暗にけん制した形だ。
ショルツ首相は16日に北京で習近平国家主席や李強首相と会談する予定。
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