欧州連合(EU)加盟27カ国は15日、「企業の持続可能性におけるデューデリジェンス指令(CSDDD)」の修正案を承認した。域内企業に対し、サプライチェーン(供給網)での人権保護や環境への配慮を義務付ける狙い。ただ、一部加盟国の支持を取り付けるため、適用条件を当初の案から大幅に緩和した。
BBC電子版によると、17カ国がこの修正案に賛成票を投じ、反対票はなかった。同案は今後、欧州議会での正式な承認を経て発効する見通し。
CSDDDは域内企業に対し、供給を受ける製品の生産過程で環境破壊や人権侵害が行われていないことの証明を義務付けるもの。また、こうしたリスクの軽減措置や公表も求めている。当初の案では従業員数500人以上、売上高1億5,000万ユーロ以上の企業が対象とされていたが、それぞれ1,000人以上、4億5,000万ユーロ以上に緩和された。
当初の案は欧州委員会が2022年2月に提案し、EU理事会と欧州議会も23年12月にこの案で暫定合意していた。だが、域内企業はこれについて、厳しい義務と制裁が過度の負担となり、域外企業との競争で不利になると批判。企業の域外への移転を促す恐れもあると訴えていた。これを受け、ドイツやイタリアなどが土壇場で反対に回ったため、修正が施されていた。
世界自然保護基金(WWF)は今回の修正案について、「適用対象企業が70%近くも減り、骨抜きになった」と批判。国際非政府組織(NGO)オックスファム・インターナショナルは、「大企業におもねる修正で、民主主義と人権の擁護者を自任する欧州にとって打撃となる」としている。[EU規制][環境ニュース][労務]
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