欧州連合(EU)加盟27カ国は11日に開いた雇用・社会政策担当相理事会で、米国の配車サービス大手ウーバーなどから仕事を請け負う「ギグワーカー」の労働条件を改善する指令案を採択した。これにより、2,850万人を超える域内のギグワーカーが社員と同じ福利厚生を受ける道が開かれた。ギグワーカーはこれまで個人事業主として扱われることが多かったが、従業員としての待遇を認めた世界初の法令となる。
新たな指令では、ウーバーや食事宅配サービスの英デリバルー(Deliveroo)などオンラインプラットフォームを運営する企業に対し、一定の条件を満たしたギグワーカーを従業員と見なし、有給休暇などの福利厚生を適用することを義務付ける。同案は昨年12月に暫定合意していたが、一部加盟国の反対で採択に至っていなかった。
指令案ではこのほか、ギグワーカーの勤務評価などにおけるアルゴリズムの利用の透明性を高めることを求めるほか、労働者側はその判断に異議を申し立てる権利を得る。
欧州委員会は2021年に同指令案を提案したが、フランスやドイツなどの反対で一時頓挫していた。可決にはEU人口の65%超を占める加盟国の支持が必要で、今回、エストニアとギリシャが賛成に回ったことで成立した。
今後は欧州議会での正式な承認を経て発効される。EU加盟各国は、発効後2年以内に同指令を国内法として施行する必要がある。[EU規制][労務]
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