欧州議会(定数705)は27日、欧州連合(EU)域内の生態系の回復を目指す「自然再生法案」を329対275の賛成多数で可決した。欧州各国でEU規制に抗議する農業従事者のデモが続く中、最大会派である欧州人民党(EPP)グループは農家の負担を増やすとして反対を表明していた。
この法案では、2030年までにEU域内の陸地および海洋面積のそれぞれ20%以上に再生措置を講じるほか、50年までにこの対象を再生が必要な生態系全体に拡大することを目指す。加盟国に対しては、30年までに劣化した自然生息地の30%以上を改善することを義務付ける。この割合は40年までに60%以上、50年までに90%以上に引き上げられ、各国はこれに向け計画を策定する必要がある。
農地の生態系については、◇草地のチョウの生息水準◇生物多様性の高い農地の割合◇土壌中の有機炭素貯留量――のうち二つの指標で改善を示すための対策を求める。ただし、食料生産に必要な農地が著しく減少する場合に、適用を一時停止できるよう、緊急ブレーキ措置を備えている。
欧州委員会は、22年6月に自然再生法案を提案した。発効に向けて今後、EU理事会での正式承認が必要となる。[EU規制][環境ニュース]
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