英国の郵便大手ロイヤル・メール傘下ポスト・オフィスの郵便局長らの冤罪(えんざい)事件を巡り、政府は22日、被害者の有罪判決を覆す新法を7月末までに成立させる方針を示した。一定の条件を満たすことを条件に刑罰を一括して取り消す内容で、900人超の被害者の大半が対象となる見通し。
ホリンレーク郵政担当相はこの法案について、実際に犯罪を犯した者が刑罰を免れる恐れもあるが、「多数の無実の人の罪が取り消されるための代償として、政府はこれを受け入れる」と述べた。新法は夏季休暇までにできるだけ早く国王の勅許を得て施行する方針だ。
新法が適用されるのは、事件の原因となった富士通製の勘定系システム「ホライゾン」を使用し、窃盗や偽装会計など関連する罪状で有罪となった郵便局長や従業員、およびその家族。ただ、雇用・年金省による訴追で有罪となったケースには適用されない。イングランドとウェールズでの訴訟の被告のみが対象となるが、政府はスコットランドや北アイルランドでも同様の措置が取られるよう取り計らうとしている。
この事件では、ホライゾンの不具合により郵便局の勘定に不足が生じ、1999~2015年に900人以上が誤って有罪判決を受けた。ポスト・オフィスによる訴追件数は約700件、公訴局と雇用・年金省による訴追は283件に上るが、これまでに有罪判決が取り消されたのは102人にとどまる。被害者の一部は既に死亡しているほか、自殺したケースもあり、救済が急がれている。[日本企業の動向]
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