英国の郵便大手ロイヤル・メール傘下ポスト・オフィスの郵便局長らの冤罪(えんざい)事件を巡り、事件の原因となった富士通製のシステム「ホライゾン」の問題を指摘していた会計事務所セカンド・サイト・サポート・サービスを、ポスト・オフィスがひそかに排除していたことが明らかになった。政府もこれを認識していたとみられる。BBC電子版が入手した文書を元に26日報じた。
セカンド・サイトは不正調査を専門とする会計事務所だが、2014年4月に開かれた会合の議事録によると、ポスト・オフィス幹部らは同社を外し、自らが調査の主導権を握ることを決めていた。また、総額わずか100万ポンドの「形だけ」の補償金を郵便局長らに支払うことにより、この問題を迅速に解決する方針も打ち出されたという。
会合には、ポスト・オフィスのアリス・パーキンス会長やポーラ・ベネルズ前最高経営責任者(CEO)のほか、当時の民間企業・エネルギー・産業戦略省の高官も出席していた。
セカンド・サイトは13年7月、ホライゾンの欠陥やバグにより、郵便局76カ所で残高や取引高の誤りが生じていたとポスト・オフィスに報告した。ただ、ポスト・オフィスはこの情報を握りつぶし、郵便局長らを窃盗などで起訴していた。
この事件では郵便局長900人以上が有罪判決を受けたほか、契約打ち切りによる失職や不足額の弁済なども含め、影響を被った関係者は4,000人を超える。今年に入ってこの事件を扱ったテレビドラマが話題となったことを受け、政府は有罪判決の撤回に向けた新法を提出すると発表。被害者への補償費用として総額10億ポンドの予算を確保している。
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