英国の最高裁判所は15日、不法移民の一部をルワンダに移送する政府の計画は違法との判決を下した。ルワンダは安全な第三国と見なせないとする控訴院の判断を支持した。英仏海峡からの不法入国阻止を公約に掲げるスナク首相は、望ましい結果ではないが次の策を検討するとしている。
控訴院は6月、「ルワンダの難民制度には多大な欠陥があり、同国に移送された移民が本国に送還されて弾圧などの非人道的な扱いを受ける実質的リスクがある」と指摘。こうした欠陥が是正されない限り、ルワンダへの移送は違法との判決を下した。
内務省は上告したが、最高裁の裁判官5人は全会一致で控訴院の判決を支持。移民がルワンダ政府により送還されると信じるに足る根拠があるとしている。
スナク氏は、最高裁は安全な第三国であれば不法移民を移送することは合法だと認めており、政府の展望の裏付けになると説明。不法移民による年間数百万ポンドの負担に終止符を打つため、手を尽くすとしている。
ルワンダへの移送計画を巡っては、欧州人権裁判所が2022年6月に差し止めの仮処分を下した。英高等法院は同年12月、この計画を合法とする判断を下したものの、難民申請者が人権団体と共に控訴していた。なお政府はすでに、この計画に1億4,000万ポンドを費やしている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。