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EU、電力市場改革案で合意 再エネ普及へ消費者保護を義務化

欧州連合(EU)理事会は17日に開いたエネルギー・気候変動相会合で、電力市場改革案で合意した。電力価格の高騰から消費者を保護するため、再生可能エネルギーなどの新規発電事業への公的支援に二方向の「差額決済契約(CFD)」を義務づける内容。これにより、再生可能エネルギー開発への投資環境を整備し、エネルギー安全保障を改善する狙いもある。

電力市場改革案は、ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格高騰を背景に、欧州委員会が3月に公表。ただEU加盟各国の間では、既存の発電事業にも二方向CFDによる支援を認めるかどうかを巡り意見が割れ、合意が遅れていた。原子力発電に依存するフランスは、既存発電所の運転延長にこれを適用することを求め、中東欧諸国もこれに賛成したが、ドイツなどはこれがフランスの電力事業者を不当に優遇し、競争を歪めるとして反対していた。

最終案は妥協策として、既存の発電事業にも二方向CFDによる支援を導入できるとする一方で、こうした支援がEU域内の競争を阻害しないことを条件とし、欧州委がこれを監督する内容となった。この結果、ハンガリーを除く全加盟国の賛成により、最終案が承認された。

加盟各国は、新規の風力発電、太陽光発電、地熱発電、貯水池を伴わない水力発電、原子力発電の各事業を支援する場合、二方向CFDを導入することが義務付けられる。CFDは電力の市場価格が最低基準額を下回った場合に、政府がその差額を補填するものだが、二方向CFDでは最高基準額も設定し、市場価格がこれを上回れば発電事業者が差額を政府に補填する。政府はこの収入を消費者に還元するほか、電力料金の補助や電力価格引き下げに役立つ投資に振り向ける。

電力市場改革案には、再生エネルギー発電事業者との電力購入契約(PPA)を促進するため、国が契約者に保証を提供する措置や、電力消費者の保護を拡大する措置も盛り込まれている。

同案を巡っては今後、EU理事会と欧州議会の間で交渉が行われる。[EU規制][環境ニュース]


関連国・地域: EU
関連業種: 電力・ガス・水道マクロ・統計・その他経済

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