欧州連合(EU)は1日、世界初の国境炭素税となる「国境炭素調整メカニズム(CBAM)」の運用を開始した。まずは「移行期間」として、鉄鋼やセメントなどの対象製品を域内に輸入する際、生産過程での温室効果ガス排出量の報告を義務付けることから開始。2026年以降は二酸化炭素(CO2)排出量に応じた炭素価格の支払いを求め、34年に完全導入する。
排出量の報告義務は四半期ごとで、輸入事業者は今年10~12月の取引について来年1月末までに報告する必要がある。26年以降の支払い額は、域内企業がEU排出権取引制度(EU―ETS)に基づいて支払う炭素価格と同水準とする。ただし、すでにEU域外で炭素価格が支払われている場合はこれを差し引く。
欧州委員会のジェンティローニ経済担当委員は、CBAMは環境基準が低い国への生産移転を防ぎ、世界の産業のグリーン化を促すと指摘。同メカニズムの成功のため、EU域内外の企業や各国政府と緊密に協力するとしている。
シンクタンクの調査によると、CBAM導入はEUとの取引が多いロシアと中国、英国、トルコ、ウクライナ、インド、韓国、米国への影響が大きいとみられている。ブラジルや南アフリカ、インドはCBAMを「差別的」だと非難。インドは、特にEUへの輸出分野を狙った独自の炭素税導入を計画している。[環境ニュース][EU規制]
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