環境保護団体グリーンピースは19日、欧州諸国の過去30年のインフラ投資は道路が鉄道を大きく上回っているとの調査結果を発表した。自動車の利用を促している格好となり、低炭素化に向けた取り組みに逆行すると警鐘を鳴らしている。
調査は、グリーンピースの委託でドイツの調査機関ブッパータール(Wuppertal)・インスティトゥーテとT3トランスポーテーション・シンク・タンクがまとめたもの。それによると、欧州連合(EU)加盟27カ国にノルウェー、スイス、英国を加えた欧州30カ国が1995~2018年に行ったインフラ投資の総額は、鉄道が約9,300億ユーロだったのに対し、道路は約1兆5,000億ユーロだった。
この結果、30カ国の道路網の総延長は、95年の5万1,494キロメートルから20年には8万2,493キロメートルに拡大。伸びが最も大きかったのはアイルランドで、これにルーマニアとポーランドが続く。また、15カ国ではこの間に道路網の長さが2倍以上になっている。
一方、鉄道網の全長は6.5%縮小。路線の長さでは1万5,650キロメートルに相当し、これに伴い2,582駅が閉鎖された。ただ調査によると、廃止された路線のうち7,300キロメートル相当は比較的容易に営業を再開することが可能という。
なお、期間を18~21年に限ると、道路と鉄道への投資総額の差は縮小する。しかし、鉄道路線の廃止が続く一方で道路や空港は新設が多い傾向は変わっていない。グリーンピースは、鉄道での移動による炭素排出量は自動車より77%少ないと指摘。欧州各国やEUに鉄道インフラへの投資を促進するよう訴えている。[環境ニュース]
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