英政府は15日、インドの鉄鋼大手タタ・スチールに5億ポンドの補助金を提供することで合意したと発表した。同社がウェールズ南部ポートタルボット(Port Talbot)に保有する製鉄所の低炭素化を支援するためで、タタ・スチールも7億ポンド余りを投資する。
同社は、総額12億5,000万ポンドを投じて同製鉄所の高炉を炭素排出量の少ない電炉に転換する。政府はこれにより、英国全体の炭素排出量を1.5%削減できるとみている。
ただ、電炉は高炉に比べて必要な人員が少ないため、同製鉄所では雇用が失われる可能性が高い。政府は、「今回の措置により5,000人の雇用確保が可能」としているが、同社は英国で8,000人超の従業員を抱えるため、3,000人の雇用が失われる可能性がある。
ロイター通信によると、バデノック民間企業・貿易相は「政府の支援により、失われていたはずの雇用が救われた」と強調。「今回の投資がなければ、ウェールズの鉄鋼産業はおそらく終わりを迎えていただろう」と述べた。
タタ・スチールは、政府の支援がなければポートタルボット製鉄所の存続は不可能と訴えていた。政府は英国の鉄鋼大手ブリティッシュ・スチールの低炭素化支援を巡る協議も進めている。[労務][環境ニュース]
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