欧州委員会のフォンデアライエン委員長は13日、欧州議会で施政方針演説を行い、欧州連合(EU)域内企業の支援を重視する姿勢を打ち出した。中国製の電気自動車(EV)を対象にEU国家補助法に基づく調査を開始するとともに、風力発電産業の振興に向けた包括的法案を提出するとしている。
同委員長は、「世界の市場は安価な中国製EVであふれている」とした上で、「これらの車の価格は国家補助によって人為的に安く抑えられている」と指摘。これが欧州企業との競争をゆがませていることから、調査に着手すると発表した。
「欧州風力発電パッケージ」では、プロジェクト承認手続きの一段の迅速化や、オークション制度の見直しに取り組むとしている。このほか資金調達、供給網など、域内の風力発電産業が直面するさまざまな課題の解決を目指す。
また、域内企業の事務負担軽減に向け、EUレベルでの報告義務を25%削減する法案を10月に提出する。域内企業の競争力強化に向けては、欧州中央銀行(ECB)総裁やイタリア首相を歴任したマリオ・ドラギ氏に報告書の作成を依頼する。
外交面では、ロシアによる侵攻が続くウクライナに対し、必要な限り支援を続ける姿勢を改めて示した。また、ロシアはアフリカのサヘル地域でも混乱をあおっていると非難し、アフリカ諸国との連携強化の必要性を訴えた。
EUの拡大については、ウクライナや西バルカン諸国、モルドバの未来はEUにあると強調。加盟国が現在の27カ国から30カ国以上に増えても、EUの統合と機能を維持することは可能との考えを示した。
欧州委のメンバーは来年の欧州議会選挙に伴い交代するため、フォンデアライエン委員長にとってはこれが今任期中で最後の施政方針演説となる。同氏は再選を目指すとみられており、この演説では企業寄りの姿勢やEUの未来を示すとともに、欧州グリーンディールやデジタル関連法の導入など、就任以来の自身の実績もアピールした。[EU規制]
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