ドイツ連邦議会(下院)は8日、新規の暖房システムについて、エネルギーの65%以上を再生可能エネルギーで賄うことを義務付ける内容の法案を可決した。来年1月以降に設置されるものが対象で、石油やガスなどの化石燃料だけを使用する暖房システムの新設を実質的に禁止する。
ドイツは石油・ガスの暖房システムを段階的に廃止することを目指している。今回の法案により、来年からは新築物件や地域暖房が導入されているエリアの暖房システムはすべて、環境負荷の低いシステムにする必要がある。ただ、既存の暖房システムはそのまま使用を継続できるほか、修理も認める。また将来的に水素燃料に転換可能であれば、ガス暖房は来年以降も新たに設置できる。
政府は4月に法案を閣議決定したが、法案の推進を強く求める緑の党と、切り替え時期を遅らせることを主張する自由民主党(FDP)の間で議論が紛糾。最終的にFDPの主張に沿って内容に変更を加えた。議会の投票結果は、賛成399票、反対275票、棄権5票だった。
緑の党に所属するハーベック副首相兼経済・気候保護相は今回、同法案により2030年までに約4,000万トンの排出量を削減できると強調。ただ経済・気候保護省は、切り替え時期を遅らせれば建造物分野での30年の排出量目標の達成は不可能になるとの見通しを示している。
法案は今後、連邦参議院(上院)で審議される。[環境ニュース]
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