英政府が実施した再生可能エネルギー発電事業向けの補助金入札で、過去最多となる95件のプロジェクトが支援対象に選ばれた。政府が8日に公表した最新の入札結果で明らかになった。ただ洋上風力発電については応札がなく、2030年までに洋上風力発電の設備容量を50ギガワットに拡大する政府目標の達成が危ぶまれている。
政府は、電力の市場価格が一定水準を下回った場合に差額を保証する「差額決済契約(CfD)」を実施しており、今回行ったのは同スキームの5回目の入札となる。予算は2億2,700万ポンドで、合わせて容量3.7ギガワット相当のプロジェクト95件に支援を行うことが決まった。これは200万世帯の電力需要に等しい。
支援対象となるプロジェクトの内訳を見ると、設備容量換算で半分を太陽光発電が占めた。陸上風力発電は1.5ギガワット相当で、プロジェクト件数は22年に行われた前回入札の10件から24件に増えた。潮力発電は11件で、設備容量では50メガワット相当となる。今回は地熱発電のプロジェクトも初めて支援対象に選ばれている。
洋上風力発電で応札がなかった背景には、政府の提示した差額保証の上限額が前回入札の1メガワット時当たり46ポンドから44ポンドに引き下げられたことがある。洋上風力発電ではインフレやサプライチェーン(供給網)の問題で開発コストが急増しており、発電事業者はこの価格では採算が取れないと判断したとみられる。
ドイツのエネルギー大手RWEやスウェーデンの電力大手バッテンフォールなどによると、洋上風力発電プロジェクトのコストは約40%拡大。バッテンフォールは7月、イングランド東部ノーフォーク州沖の洋上風力発電プロジェクト「ノーフォーク・ボレアス(Boreas)」を断念する決断を下した。
前回入札では合わせて約11ギガワット相当のプロジェクト93件が選ばれており、このうち7ギガワット相当は洋上風力発電だった。[環境ニュース]
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