スウェーデンの電力大手バッテンフォールは20日、英イングランド東部ノーフォーク州沖の洋上風力発電プロジェクト「ノーフォーク・ボレアス(Boreas)」の開発を停止すると発表した。インフレや地政学的リスクを背景に、開発コストが40%程度上昇したため。同州沖で計画する他のプロジェクトも含め、最善の策を検討するとしている。
同社はノーフォーク・ボレアスの現行の開発計画を停止し、差し当たり投資決定を下さないと説明。これに伴い、55億スウェーデンクローナ(5億4,000万ドル)の減損処理を行った。
同プロジェクトの風力発電の設備容量は、1.4ギガワット。同じくノーフォーク州沖でバッテンフォールが計画する「ノーフォーク・バンガード・イースト」および「ノーフォーク・バンガード・ウエスト」と合わせると、設備容量は4.2ギガワットと見込まれる。
バッテンフォールは、インフレ加速や資本コスト増はエネルギー業界全体に影響を与えているが、地政学的状況により風力発電部門とそのサプライチェーン(供給網)は特に脆弱(ぜいじゃく)化していると指摘。資本コストの上昇は、新規洋上風力発電プロジェクトにとって大きな圧力になっているとしている。
ノーフォーク・ボレアスは昨年、電力の市場価格が一定水準を下回った場合に英政府が差額を保証する「差額決済契約(CfD)」の対象となった。今回の停止判断は、炭素排出削減に向け再生可能エネルギーへの投資促進を進める政府にとっても痛手となりそうだ。[環境ニュース]
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