欧州議会と欧州連合(EU)理事会は28日、EU域外国からの経済的威圧に対抗する反威圧措置を巡り暫定合意した。中国や米国を念頭に置いたもので、貿易の制限などに対する報復措置を可能とする。
この措置は欧州委員会が2021年12月、EUに政策変更を迫る圧力として貿易や投資に制限を課す域外国への対抗手段として提案したもの。欧州議会とEU理事会は今回、抑止力を強化する法案の改正で合意した。
反威圧措置には、輸出入やサービス、公的調達の制限、関税引き上げなどが含まれる。欧州委が経済的威圧に該当するかの調査・判断を行い、特定多数決方式で加盟国の同意を得た上で措置決定の手続きに移る。
調査開始から対抗策導入までのタイムラインは最長1年だという。今年後半に発効する見通しで、新たな経済的威圧への対抗が想定されているが、過去の事例に適用される可能性もあるという。
同措置についてのEUの報告書では、中国や米国のトランプ前政権、トルコによる貿易の政治利用について言及されている。欧州委は22年1月、中国がリトアニア製品の輸入に差別的な制限を課しているとして世界貿易機関(WTO)に提訴したが、解決には至っていない。リトアニアでは21年11月、台湾の事実上の大使館が開設された。これを受け中国は同年12月にリトアニアとの貿易を事実上禁じたとされる。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。