英政府は7日、不法移民法案を発表した。不法入国者は拘束の上、国外追放し、亡命申請も認めない方針。ブレーバーマン内相は国際法に適合する法案だとしているが、野党や慈善団体からは批判の声が上がっている。
この法案は、内相に不法入国者を国外退去させる法的義務を課すもので、母国が安全な場合は送還、それ以外はルワンダなどの「安全な第三国」に移送する。不法入国者は国外退去まで拘束され、28日間は保釈や司法審査もない。ただし、18歳未満か深刻な医療上の理由がある場合、または移送で深刻かつ不可逆的な危害を受ける恐れがある場合は例外とする。
同法案ではこの他、不法入国者の亡命申請を容認せず、安全な第三国での検討とするほか、英国への再入国を永久に禁止。不服申し立ても国外退去後のみ許可する。併せて、法律上安全と見なされる国のリストを拡大するほか、合法的な亡命申請の許可数に年間の上限を設ける。
ブレーバーマン氏は、亡命制度には年間30億ポンドの税金がかかると指摘。不法移民の多くはホテルに収容されることから、これに1日当たり600万ポンド以上が費やされているという。政府は今後、収容者をより安価な滞在施設に移送することで、コストを削減する方針。
英国では、英仏海峡を小型ボートで渡る不法入国者の増加が大きな問題となっている。昨年は英仏海峡経由で4万5,000人以上が入国。2018年の約300人から激増している。
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