欧州委員会は13日発表した冬季経済見通しで、今年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)が前年比0.9%拡大するとの予測を示した。エネルギー危機が緩和される中、今冬に予想されていたリセッション(景気後退)入りを辛うじて回避すると見込み、昨年11月の秋季見通しから0.6ポイント上方修正。インフレ率の見通しは引き下げた。
欧州委は、ガスの貯蔵量が過去数年の平均を上回り、卸売価格がウクライナ危機前の水準を下回っていることに加え、労働市場が好調を保つなど、前回見通し以降に状況が好転したと説明。予想されていた2022年第4四半期(10~12月)の経済縮小が回避されたほか、23年第1四半期の縮小も避けられる見通しだという。
来年の成長率については1.5%と、前回予測を維持した。欧州連合(EU)加盟27カ国のGDPは、23年に0.8%拡大し、24年は1.6%増えるとみる。
今年の成長率見通しを国別に見ると、ドイツは0.2%と、秋季見通しのマイナス0.6%から大きく上方修正。フランスは0.2ポイント引き上げ0.6%とした。イタリアも0.5ポイント上方修正し、0.8%を見込む。スペインは0.4ポイント引き上げ、1.4%とした。
ユーロ圏のインフレ率については、昨年の8.4%から今年は5.6%に減速すると予想。前回予測から0.5ポイント下方修正した。来年は2.5%への減速を見込む。EU全体の今年のインフレ率は6.4%、来年は2.8%とそれぞれ予想している。
欧州委は、インフレ率は昨年10月を境に鈍化しているが、エネルギーや食品を除いたコアインフレ率はピークに達していないと指摘。エネルギー高騰による消費者や企業の苦境は続いているほか、インフレ圧力を受けた金融引き締めの継続が事業や投資を妨げると予想し、依然として逆風は強いと警鐘を鳴らしている。
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