英国の石油大手シェルは6日に公表した2022年第4四半期(10~12月)の財務見通しで、当期に欧州連合(EU)域内と英国で課される超過利潤税が計20億ドルに達すると明らかにした。第3四半期決算で計上された超過利潤税3億6,000万ドルと合わせると、通年で約24億ドル近くを支払うことになる。
超過利潤税の国別の内訳は示されていないが、同社が5年ぶりに英国での納税を余儀なくされることは確実となっている。シェルは近年、英領北海での投資や油田閉鎖を巡る税控除により、英国での納税額がゼロとなっていた。
英国政府は昨年11月に発表した秋季予算案で、石油・ガス会社を対象とした超過利潤税の税率が現行の25%から35%に引き上げるとともに、課税期間を3年延長し、28年3月までとした。この結果、石油・ガス事業の利益に対する課税率は合計で75%と、世界最高水準に達している。
これを受け、シェルは英事業に今後10年間で最大250億ポンドを投資する計画を見直す方針を示していた。
一方、EUも昨年9月、石油・ガス会社などから一定水準を上回る利潤を徴収することで合意。22年度または23年度の課税対象利益が18年以降の平均利益を20%以上、上回った場合に超過分を徴収することを決めた。域内で計250億ユーロの税収が見込まれているが、米国の石油大手エクソンモービルはこれを不服とし、欧州一般裁判所に提訴している。
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