欧州委員会は9日、欧州連合(EU)域内の再生可能エネルギー・プロジェクトの認可手続きを迅速化する規則案を公表した。再生可能エネルギーの展開を加速し、ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー危機に対処する狙いで、1年間の時限立法となる。
規則案では、再生可能エネルギー由来の発電施設は「最優先公益」とみなされ、簡易審査の対象となる。また、承認手続きのボトルネック解消に向け、EU鳥類・生息地指令の一部条項の適用範囲が明確化されている。
対象となるのは、環境負荷の小さい特定の再生可能エネルギー・プロジェクト。例えば、建物などの人口構造物の上に設置される太陽光発電設備や、これに付帯する蓄電および送電網接続機器については、承認審査を1カ月以内に終了することが義務付けられるほか、一部の環境審査が免除される。
また、老朽化した風力タービンの取り換えや大型化といった再生可能エネルギー発電施設の改修・拡大プロジェクトについては、承認手続きが簡素化され、変更・拡大部分についてのみ環境審査が求められる。審査期間は最長6カ月とされる。
小規模な熱ポンプの送電網との接続工事については、承認手続きが簡素化され、審査期間は最長3カ月に制限される。
欧州委員会のティメルマンス上級副委員長(欧州グリーンディール政策総括、気候変動対策担当)は、「再生可能エネルギーは、低コストかつクリーンで、ロシアの影響も受けない」と指摘。今回の規則案により、「グリーンエネルギーへの転換を迅速化し、ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー危機に対処する」としている。[EU規制][環境ニュース]
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